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映画「くじらびと」進捗状況

映画「くじらびと」の進捗状況をお伝えします。

映画制作の進行をシンプルに説明すると、撮影、ワーク編集、ポスプロ(ポストプロダクション)と分けられます。
撮影は文字通り現地での取材、撮影。ワーク編集は自宅や編集室のパソコンを使っての編集。ポスプロはスタジオでの仕上げ作業となります。

今回は撮影に3年、ワーク編集に半年かけました。Nスペなどの大型ドキュメンタリーが海外取材に1ヶ月、編集2か月と言われてますが、それに比べてもいかに時間をかけているかがわかります。

現在はこのワーク編集を終え、ポストプロダクションに移行しています。ワーク編集ではすでに決まった絵柄のグレーディング(色の調整、味付け)から始めます。基本的グレーディングは終わり、ここから音響、音楽をつけ、最終的にそれらをミックスするのが2月下旬、3月初めには完成となります。

ポスターblog


今回は、音響に特に力を入れ、同録マイクで拾えない音はスタジオで起こしています。音楽をあまり使わず、環境音で効果を高め、臨場感を出すためです。この音響にかけたお金だけでもポレポレなどでかかるインディペンデント映画一本の標準的予算を超えているはずです。劇場でご覧になるときには、ぜひそのあたりも注目して聴いてもらえればと思います。

国境だけではなく、時代を超えた記録映画にふさわしい作りにすべく、現状できることは全てやりベストを尽くしています。

時間はかかりますが、どうぞご期待ください。

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36年前の中村哲さんの思い出

中村哲さんの功績については多くの記事が出ているのであえて書かない。
実は36年前、パキスタンで哲さんに会っている。
まだ23だった僕は、アフガン紛争の取材でパキスタンへ行った。当時アフガニスタンはソ連軍が侵攻して4年目で、多くの難民が国外へ避難、傀儡政権と戦う反政府勢力はパキスタンを拠点にしていた。
初めての中東、初めての戦場取材が不安で何か情報を得られないかとまずイスラマバードの彼の自宅を訪ねた。知り合いの日本の牧師さんの紹介だった。
あいにく自宅には哲さんは不在だったが、留守番の現地の方が快く泊めてくれた。その後、アフガンの反政府勢力が拠点にしているペシャワールに向かった僕は、すっかり哲さんのことを忘れ、従軍取材の準備をしていた。
そんなある日、ひょっこり哲さんがペシャワールに現れた。「なぜ僕のところを訪ねたの?」アフガンへ行くという向こう見ずなフリーランスの若者のことを心配してくれたのだろう。わざわざイスラマバードから来てくれたのだ。
それから二人で夜のペシャワールを歩いた。パキスタン人とアフガン人で賑わうペシャワールは妙に活気があった。夜の街には屋台も並び、行きつけのボロいアフガン料理屋でカプリに舌鼓を打ち、これからアフガンへ行くこと。現地の地区司令官と日本で会い、彼の手下とともに国境を超え、徒歩で前線までいくことになっていること。ひどい状況のアフガンのことを少しでも日本に伝えたいと話した。哲さんは難民キャンプの惨状と医療活動の限界について嘆いていた。
30代半ばの哲さんはパキスタンに赴任して数年目だった。まだあのペシャワール会も立ち上げてなかった。僕もパキスタンで難民を治療するお医者さんなのかなという認識しかなかった。ただずいぶん暖かい人だな、と感じた。

自画像アフガンs

その後、僕はアフガンへ向かった。以来、哲さんとは会っていない。
時々、ニュースで哲さんのことを聞くと、ああ、頑張っているなあと感心していた。やがて彼の活動が、頑張っているどころじゃない、すごいことをやっているとわかってきた。そしてそれは理想を貫く彼の生き方への羨望と変わっていった。
いつか哲さんと会いたいな。僕のことを覚えているだろうか?そんな日を楽しみにしていると、某ノンフィクション賞に僕と哲さんの著書がノミネートされたという知らせが届いた。ノミネートされたことより、哲さんと同じまな板に乗ったのがうれしかった。結局、哲さんがその賞を受賞したのだが、これが縁で会うことになるのかな、とも思ったが、そうした機会は訪れなかった。



僕の仕事は哲さんの足元にも及ばないが、アフガン以来30数年間それなりにさまざまなことがあった、いつか哲さんと再会しあれからどんなことがあったか話したいなと思っていた。
だが、悲しいことにもうその日は永遠に訪れることはなくなった。こんなことならもっと早く会いに行けば良かった。

中村哲s


短い出会いだったが、哲さんのことで、忘れらないエピソードがある。二人ともパジャマのような民族服に身を包み、夜のペシャワールを歩きながら「中村さん、すごくおいしいマンゴージュース屋がありますよ」「まあ、パキスタンのマンゴーはうまいからね」「いやうまいなんてもんんじゃないです。騙されたと思って行きましょう」「そう、そこまでいうなら」
屋台のジュース屋でマンゴーをミキサーしてもらい、二人で飲んだ。一杯30円くらいだっただろうか、その瞬間、「なんじゃー、こりゃー!」目をまん丸くして驚いた表情の哲さん。まるで子どもみたいな顔をしていた。その日はまた特別おいしいマンゴーが入荷していたのだ。
ふたりで「なんじゃこりやー!」と言いながらマンゴージュースをお代わりした。あれほどうまいマンゴージュースを以来、飲んだことがない。
今となっては忘れられない思い出。涙が止まらない。

椎名誠さんと

昨日は地球永住化計画の関野吉晴x椎名誠対談へ、終了後、近くのカレー屋へ。椎名さんと、映画談義で話が弾みました。
椎名さんとのご縁は、今、製作中の映画「くじらびと」の原作ともいえる写真集「海人」(新潮社)に遡ります。98年の講談社出版文化賞の審査員が椎名さんで、光栄にも私の写真集を選んでいただき、パーティー会場で初めてお会いしました。
「海人」は当時世界の秘境を旅していた椎名さんにとってツボだったようで、村のことについて熱心に聞かれたのを思い出します。

じらびとの記事とファンディングサイト

椎名誠blog

あれから20年経ってあの村のことを映画化しているこのタイミングでの再会。飲みながら再び熱いくじらびと談義、なんとも不思議なご縁を感じました。
「くじらびと」の記事とファンディング

くじらびと 予告編初公開

ついにドキュメンタリー映画「くじらびと」が予告編でそのベールを脱ぎました。
以下のファンディングサイトにアップしましたので、ぜひご覧ください。

(モーションギャラリー)

kujirablog.jpg

意外なところでコダクローム


​たまにはテクニカルな話。

今回、海上など機動力が必要な撮影ではGH5sを、陸上でじっくり撮れるシーンでは新しく導入したBLACKMAGIC POCKET CINEMA CAMERA 4K (以下BM)を使用した。
これが見事に当たり、それぞれのシーンで特性がいかんなく発揮された。
ドキュメンタリーをRawで撮る人はいませんよ。と編集者に言われたが、写真家あがりとしては、映画でもやはり画質にこだわりたい。

エリブログ

BMにメタボーンをかまし、EFのキレキレなLレンズを駆使して撮ると、もはやドキュメンタリーでは見たことがないような美しい映像が生まれた。
モニターを見て、どこかで見た質感だと思って考えて見たら、昔、愛用したコダクロームによく似ていることに気づいた。これではモチベーションが上がらないわけがない。やる気が起こり、相乗効果もでたと思う。

ただ、このカメラ、ピントも露出もすべてマニュアル。ファインダーもない。原始の時代に戻ったかのような操作性だ。

なので機動力が必要な場面にGH5Sにチェンジすると、もう夢のカメラを手にしたような興奮! 正に一石2鳥のカメラといえる(笑)

「くじらびと」壮大な鯨漁シーンだけではなく、美しい映像もお楽しみに。

BLACK MAGIC POCKET CINEMA CAMAERA 4K
METABONE
CANON EF 300M F2.8
プロフィール

lamafa

Author:lamafa
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ライフワーク、大自然と人間の共生をテーマに二つの目線から撮影を続ける。
1、地球46億年の歴史を、空から撮る。
2、祈りを通して、人間の内面世界を露わにする。

これまで講談社出版文化賞、日本写真協会作家賞,同新人賞他、受賞多数。
 Life, Paris Match, Geo、National Geographic など海外のメディアでもフォトストーリィを発表
著書に「祈りの大地」(岩波書店)「伊勢神宮 式年遷宮と祈り」(集英社)「 鯨人(くじらびと)」集英社新書 
写真集 「The Days After 東日本大震災の記憶」飛鳥新社「伊勢神宮、遷宮とその秘儀」 朝日新聞社
 「海人」新潮社
フォトエッセイに 「時の海・人の大地」 魁星出版、「フリスビー犬、被災地を行く」飛鳥新社がある。

東京都町田市在住 大分県出身
日本写真家協会会員

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Twitter bonlamafa

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