いつも、がけっぷち 変身

変身

バリ島の取材は偕成出版の「世界のともだち」という子供向け本のシリーズの依頼で行きました。

実は、話をいただいたときはわりと軽いノリで考えていたのですが、これ、取材を始めてみると、実に面白い。そして、なかなかたいへん。

たいへんなところからお話すると、始めから撮りたい子の目星があるといいのですが、そうではない場合、まず子ども探しから始めなければなりません。

ごく普通の子というくくりなのですが、もちろんだれでもいいというわけではありません。

その国や地域の伝統や文化、特色が感じられる家庭や環境にあり、あまりお金持ちであってもいけないし、貧し過ぎてもだめ。そして何より大切なのは、普通でありながら、何かひとつでもその子がキラリと光るものを持っていなければ、写真家にとっても、見る人にとっても魅力的な本にならないということです。
実は今、撮影している子は二人目で、最初の子は友人の紹介ですが、ちょっと豊か過ぎたこともあり、途中で断念しました。

Baliblog-0515.jpg

バリ島の小さな踊り子、マンアユと出会ったのは、ウブドで踊りの練習をしているところを偶然見かけたから。
ひと目見て、「あっ、この子だ!」とピーンと来ました。

ちょっと見は、ごく普通の女の子なのですが、笑顔が素晴らしく、その瞳はバリの太陽のように眩しく輝いていました。
取材を始めてみると、彼女の家庭は、我々の視点から見ると決して裕福ではないのですが、慎ましく、暖かく、バリらしい信仰に篤く、伝統家屋に寄り添って住む、本の趣旨から見ても正に理想的な家庭でした。




しかも彼女は、母親ゆずりの踊り子で、観光客相手とはいえ、舞台にも立っていたのです。これは全く予想していなかったことです。
まだ10才の女の子が、化粧をしていくうちに、妖しささえ感じさせる女性の踊り手へと変身する様はみていて鳥肌が立つくらい見事でした。

Baliblog-1170_201410201120344d4.jpg


取材というものは、常に困難や問題が降りかかってくるものですが、その都度、小さな奇跡が起きて救われる。彼女との出会いは、これまでのそんな経験を思い起こさせてくれました。

そして、朝起きてから学校へも一緒に行き、寝るまでの密着取材。大切な娘の本ができるというので家族も協力的なのですが、バリの庶民の暮らしが、実に事細かくわかり、たいへん興味深い。観光客が多いウブドにいるのですが、そんなことを忘れるくらい地元の人々の中で生活をともにしました。


自画像マンアユblog

3週間の取材を終え、マンアユ一家との別れは、たいへん名残惜しいものになったのは言うまでもありません。


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ライフワーク、大自然と人間の共生をテーマに二つの目線から撮影を続ける。
1、地球46億年の歴史を、空から撮る。
2、祈りを通して、人間の内面世界を露わにする。

これまで講談社出版文化賞、日本写真協会作家賞,同新人賞他、受賞多数。
 Life, Paris Match, Geo、National Geographic など海外のメディアでもフォトストーリィを発表
著書に「祈りの大地」(岩波書店)「伊勢神宮 式年遷宮と祈り」(集英社)「 鯨人(くじらびと)」集英社新書 
写真集 「The Days After 東日本大震災の記憶」飛鳥新社「伊勢神宮、遷宮とその秘儀」 朝日新聞社
 「海人」新潮社
フォトエッセイに 「時の海・人の大地」 魁星出版、「フリスビー犬、被災地を行く」飛鳥新社がある。

東京都町田市在住 大分県出身
日本写真家協会会員

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Twitter bonlamafa

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